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【TRPG】
音声化リプレイの、NPC。

アーシファの過去SSです。


妄想だったり、ねつ造だったり(笑。


『紺碧の大嵐』

 15歳の時、おやじの所業に耐えかねて、オレは家を飛び出した。
 オレの家は、海賊。そこそこ名の通った海賊団だ。
 オヤジから仕込まれた剣術の腕は、海の上では役に立った。そこは、感謝できる。
 でも、それだけだ。
 
 ある日、オレが商船の護衛に入って居ると、船が海賊におそわれた。
 護衛に入っていた奴らは、次々海に投げ込まれ、商人たちも同じようにその海賊の手に掛かっていった。
「エスト様を、甘く見るんじゃネェええ!!」
 オレは一人、必死に戦った。
 死にたくないとか、そんな事じゃなくて。【海賊】に負けるのが、たまらなく嫌だった。
 そんなオレの意地だけで振るっていた剣では、どうしても仲間まではカバーしきれない。
 とうとう、味方はオレだけになってしまった。
 斬られた腕が痛い、足が痛い。でも、絶対に負けたくない。
 オレが、そうして戦っていると、急に下っ端らしい奴らの群がザッっと割れていく。
 そうして、その向こうから、翼の折れた猛禽類の刺青をした、赤い髪の男が現れた。
「なかなかやるな」
 そいつは、そういって笑いかけてきた。
「…おかげさんで、仲間はみんな死んじまったよ」
 オレは剣を構えなおした。
 そいつは、どうやらオレたちの船をおそった海賊の、頭のようだった。
「…オレの名は、エスト! てめぇ、ブッ倒してやる!」
「オレは赤髪海賊団の、【赤髪のディルガ】 お前の挑戦、受けてやろう」
 綺麗に磨かれた剣が、鞘から顔を出した。
「―――― てやぁああ!!」
 まさに、歯が立たない。
 まるで玩ぶ様にオレの剣を受け流し、オレが避けられるギリギリの所に攻撃をしかけてくる。
 そうして、何度か剣を交えるとオレの体力は限界に達した。
「―――― ッ!!」
 足下の板目の足を引っかけ、よろめいたところで、オレは終わったと思った。
 ところが…。
「…お前は捕虜だ」
 そういいながら手を捕まれた。
「情けをかけ…っ!」
 言いかけたところで、鳩尾に一撃食らって、オレは意識を失った。

 どれくらいたったのだろう、オレは目を覚ました。
 傷や戦いの疲労感から、体が重くて仕方ない。
「…ぅ、…っ」
 ボヤケた視界が徐々に定まってくると、オレの周囲には何人かの男が居た。
 体が重いと思っていたのは、一人がオレの腹の上に乗って居たからだった。
「な、…んだ」
 ノドが引っかかって、声がうまく出せなかった。
「ちぇ、兄貴、こいつ目ェ醒ましちまいやしたぜ」
「あンだよ、もうちょっと寝ててくれりゃあ良かったのによ」
 状況が飲み込めずにいるオレに、別のところから声がした。
「的を射抜いた矢の入れ墨」
 その言葉にハッとなる。声の方に頭を動かしてみると声の主はオレの服を持っていた。
「テメっ、それ、オレの服…!!」
 体を起こそうとしてみると、オレの上に乗っているヤツに首元を捕まれて床に押しつけられた。
「男にしちゃ、綺麗すぎる顔立ちだと思ってたんだよ」
「まさか女だったとはなぁ」
「お前、白髭海賊団の下っ端か?」
 さっさと入れ墨を消しておかなかったから、こうなったのか、未練もないのに、入れ墨を彫っておいたことを悔いてももう遅い。
「うるせえ、オヤジは関係ねえ!!」
 締められた喉でそう叫ぶと、横っ面を張られた。
「っ、ぐッ」
 口の中に鉄っぽい味が広がった。
「…女に手荒なことぁしたくねぇんだよ、おとなしくしてりゃ、良い思いさせてやるからよ、ねぇちゃん」
 そうして、八方からオレの体に手が伸びてきた。
 いっそ殺してくれ…!
 そう叫びかけたオレの耳に届いたのは、テーブルのひっくり返る音と男のうめき声、それから、
「テメェら、ここでなにしてやがる…」
 と言う、あの、赤髪ディルガの怒号だった。
「お、お頭!」
「いや、これはその。あの…」
 オレを取り囲んでいた男たちは、次々に赤髪に殴られて吹っ飛んでいた。
「おい、誰かいないか!」
 赤髪が扉の向こうへ向かってそう叫ぶと、誰かが返事を返した。
「こんな下卑た真似をしやがるヤツは、オレの部下には必要ない」
 そう言って、後から来た男に告げた。
「こいつらを鮫の餌にでもくれてやれ!」
 部下の男が、返事をしてからオレの周りにいたヤツらをロープで縛り上げた。縛り上げられた男達は口々に叫び、命乞いをするような言葉を発していたが、それは無駄に終わったようで、扉がばたんと無情な音を立てて閉まった。
「…おい、赤髪!」
 オレが声を荒げて呼ぶと、赤髪が振り返った。
「情けをかけるなと言ってるんだ! さっさと殺せ!」
「…フッ」
 鼻で、笑われた様な気がした。
「笑うな! さっさと殺せ! こんな辱めを受けて、生きていられるかッ!」
「的を射抜いた、矢の刺青…、お前、白髭のトコの…」
「オヤジは関係ない!」
 こんなヘマをするなんて思っていもなかった…。さっきも思ったけれど、さっさと刺青を消してしまえば良かった。
「…威勢がいいな。その格好もなかなか…」
 頭にきてすっかり失念していた。オレはここの下っ端に半裸に剥かれていたのだった。
「……!」
 赤髪は、今更照れるようなそぶりをしたオレにくつくつと笑った。
 笑うなと叫んだオレに、また微笑みかけてから、赤髪はさっきと同じように扉の向こうへ、
「誰か、上着を持ってこい!」
と言って、扉を少し開けたままで入り口に居た。
「…あんた、どういうつもりだ! 何でオレに情けを掛ける!!」
 赤髪はそれには答えず、扉の向こうの誰かに一言二言、言葉を掛けて手にした上着をオレの方へ投げてよこした。
「それを着るといい」
 そして背を向けようとした。
「待てよ! オレを生かして置いてどうするつもりだ…!」 
「お前はどうしたい? ――――…自由になりたいなら行きたい港を言え。そこへ連れていってやる」
 衝撃的だった。
 うちの親父も大概海賊らしくない海賊だとは思っていたけれど、こいつも悪名轟く割には、らしくない。
 ついさっき、オレを襲いかかった部下を海に投げ込ませたばかりだと言うのに。
 その直後だというのに、オレには服を与え、生かして帰すという。
「…どうして…」
「お前はオレ達の部下をだいぶ沈めてくれたけれどな…、女子供に果てをあげないのがオレの主義だ」
「女だから、何だ!」
 オレは、白ひげ海賊団の刺青に触れた。
 …べつに、何でもない事だ。
 オレは、元々海賊の子。いまさらもういちど、海賊になっても、何も変わらない。
 オヤジの元を離れて、海賊じゃない道を生きようとしても、結局オレは海から離れられもしないし、女にも戻れない。
 それならいっそ…。
「…なあ、赤髪、オレをアンタの仲間にしないか?」
 オレの申し出は赤髪には驚きだった様で、それまでの男らしい顔とは一転、きょとんとした顔になっている。
「…お前…どういうつもりだ?」
「オレの戦い振りは見たろ? あれだけの人数相手に1人でアンタに辿りつく程度には腕も立つし、仲間に引き入れてソンは無いと思うぜ?」
 投げて寄越された上着に袖を通して、下から3つボタンを留めながらそう言ってみた。
「…他の船長の元で働きたいなら、それだけの力量があると見せつけないとな」
 赤髪は楽しそうに、にやりと笑った。
「船を一隻貸してやろう。2週間で、どれだけ戦利品を取ってこれるかを、テストにしようか」
「…わかった、2週間だな。オレを仲間に引き入れた事を後悔しない働きをして来てやるよ」
 そうして、オレは赤髪から受け取った船で、2週間の間に商船をいくつか襲い、お宝を奪取することに成功したのだが…それはまた別のお話。
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【2010/05/04 22:06】 | PCの呟き&SS | コメント(0) | page top↑
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